Home匠日記2011年2011年05月火曜:岡田心平(綾の手紬染織工房)
岡田心平

岡田心平

綾の手紬染織工房

ウェブサイトURL: http://www.ayasilk.com/

5齢蚕は食欲旺盛 深夜も食べ続ける。そして小石丸の種取。

2011年 5月 31日(火曜日) 09:00

蚕技研11号は、いよいよ5齢になりました。

食欲旺盛で、深夜でも桑を食べ続けます。

1日凡そ150kgの桑を食べるので、桑取りが大変です。(対35000頭)

しかも今週は雨続き。濡れた桑を食わせると病気になりやすいので、天気を見ながら早めに取って水を切っておかなければなりません。

台風接近の予報が出ていた週末、土曜日は大雨の中、桑を取りました。

ところが翌日曜日は台風がそれて日差しも出ましたね。

 

養蚕。5齢蚕。食欲旺盛。午後5時に給桑。さて、夜中にはどうなってるでしょうか。

↑夕方、5時頃に桑を付けておきます。けっこうどっさりのせます。

↓夜中2時に様子を見に来ると、この通り。

深夜の給桑。9時間で桑は丸裸。

丸裸になっています。早く餌をのせなければなりません。

飼育台も、3列に全部使うことになりました。

早く飯をくれと言っている。朝の養蚕室。

大きさは、このように薬指に近い大きさです。↓

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20110526105011

 

このような日々がおよそ8日間続き、いよいよ繭をかけ始めます。

今日(5月31日)一部の蚕が繭をかけ始めました。

20110531214300

明日(6月1日)はたぶん上簇(繭かけ)で忙しくなるでしょう。

 

一方、小石丸蚕の種取も進行中。

先週繭を切って取り出した蛹が、蛾になって出てきました。

交尾をさせて、卵を産ませます。

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↑小石丸の蛾が交尾している。

 

さらに、小石丸の春2期目の稚蚕飼育も進行していて、ものすごく忙しいこの2週間です。

小石丸の春まゆと、雌雄鑑別、そして蚕技研11号はいよいよ5齢へ

2011年 5月 24日(火曜日) 09:00

小石丸の春まゆが出来て、工房に届きました。

F1010001

西都の三財の日高さんに飼育していただいたものです。

気候がよく、日高さんの飼育が良かったのでしょう、小石丸ならぬ「大石丸」と呼びたくなるような、立派な大粒の小石丸が出来てきました。

でも、くびれた形はやっぱり小石丸ですね。

 

さて、このまゆの一部から、今年の秋と来年の春用の卵=蚕種を作ります。

約5000粒の形の良いまゆを選び出して、繭を切って中の蛹を取り出します。

そして、雄と雌を分けて保管します。

雌雄鑑別の仕事は、けっこう目が疲れます。

F1010003明るい廊下で雌雄鑑別をしています。

 

F1010002メスのサナギの方が、オスよりもやや大ぶりです。卵を体内に準備しているからです。

来週には、羽化して、交尾し、産卵します。

 

一方、蚕技研11号は、4齢が終わり、4眠に入ったところです。

眠とは、脱皮のために活動を停止している状態のことです。

指さしているのが5齢になったところ。そのすぐ右側のはまだ4齢です。

F1010004

 

F10100054齢蚕

 

F1010009

眠中は餌を付けないので、蚕座は蚕の色で真っ白に見えます。

広い蚕室の3分の2を使うほど、広いスペースが必要になってきました。

18mの飼育台2本がいっぱいになっています。

来週には、繭をかけそうですね。

新しい蚕室での飼育が始まりました

2011年 5月 17日(火曜日) 09:00

前回に引き続き、新品種「蚕技研11号」の飼育の話。

 

孵化したのが5月9日。

それから3日目が下の写真。

2011_0512画像0184←3日目

孵化直後が蟻のようだったのに、もうこんなに大きくなりました。

この次の日に、最初の脱皮をして、2齢になりました。

 

7日目に、2回目の脱皮をして、8日目、3齢になりました。

ここまでは稚蚕飼育室で、人工飼料で育ててきました。

8日目、いよいよ新しい蚕室に移動して、桑の葉を付けます。

やっぱり本当の食べ物は桑の葉。葉を載せると、どんどん登ってきて食いつきます。

夕方に山盛りに載せて帰って、翌朝(9日目)の様子が下の写真。

2011_0517画像0006←9日目朝

桑の葉はほとんど残っていません。

食欲旺盛です。

また山盛りに載せて、夕方にはまた丸裸。

昼夜なく食べますので、またまた山盛りに桑を載せて、帰りました。

成長が目に見えるので、おもしろいですね。

2011_0517画像0015 ←9日目夕方

さて、来週はまたぐっと大きくなってますよ。

新しい蚕の飼育が始まる

2011年 5月 10日(火曜日) 09:00

お米にもコシヒカリ、あきたこまち、など、品種があるように、蚕にも品種があります。

蚕の歴史は品種改良の歴史といってもいいほどですが、特に明治以降の品種改良はめざましいもので、飛躍的に繭の粒は大きくなり、均質な糸が作れるようになりました。

しかし、その一方で、古い品種・・原種には原種の味があり,美しさがあります。

 

綾の手紬染織工房では、「小石丸」という日本の原種・・凡そ100年ほど前に主流だった品種・・を、昭和63年から復活させて、飼育を続けてきました。

IMG0010 (左が小石丸、右が一般品種)

 

当時は蚕糸業法など、厳しく国のルールに縛られている中で、様々な手を尽くしてようやく飼育にこぎつけることが出来ました。そのあたりの事情は、綾の手紬染織工房のサイトに詳しく書いてあります。(甦った幻の絹「小石丸」養蚕奮戦記)

私たちが小石丸を使うのは、藍染めをした時にけば立ちがなく、美しい織物が出来るからです。

確かにできあがる織物は美しいのですが、粒が小さく糸も短くて細いため、とても価格が高くなってしまいます。

 

そこで、一昨年から、小石丸のようにけば立ちがなく藍が美しく染まり、かつ経済的にも優れた品種を探して、飼育と染織を繰り返してきました。

しかし残念ながら、今まで試した4品種は、いずれも藍染めするとけば立ちが起きてしまいました。

 

今年はこれを最後と決めて、蚕業技術研究所が開発した新品種、「蚕技研11号」を飼育してみることにしました。

なにしろまだほとんど実用に供されていないものですから、名前は味気ないものです。藍染めに適していて私たちが使い続けることに決まれば、その時にはかわいい愛称を付けようと思います。

 

さて、その蚕技研11号、先日蚕種・・卵が蚕業技術研究所から届きました。

25℃の環境で約10日保管して、5月7日、無事に孵化してきました。

5℃の環境で2日間待機して、9日から、いよいよ飼育が始まりました。

 

2011_0509画像0168

孵化したばかりの蚕は、最初は蟻のようです。

70匹のメスが生んだ卵を譲り受けましたが、1匹約400~500粒の卵を産み、約35000頭が孵化してきました。これはもちろん数えたわけではなく、重さで計算したものです。

黒く塊のように見えますが、これが孵化ばかりの蚕のかたまりです。

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1万頭ごとに分けて、飼育します。

パレットの上に広げて、上から餌をかけていきます。

餌は、2齢までの稚蚕期は、桑の葉を配合した人工飼料を使います。衛生面と、省力化を考えて、最近は稚蚕飼育は人工飼料育が一般的です。

 

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次のレポートを書く来週には、かなり大きくなっていることと思います。

養蚕の季節

2011年 5月 03日(火曜日) 09:00

今年も始まりました、藍まつり。

綾の手紬染織工房で5月5日までです。

先日伝統工芸士に認定された、有光信二作のタペストリー。

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絞り染めの鮮やかな洋服。

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こいのぼりが泳いでいます。

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さて、そんな祭の裏側で、今年も養蚕が始まりました。

 

飼育室の掃除、消毒などを済まして、4月25日に孵化してきた蚕に最初の餌を与えました。

最初の餌を与えることを、「掃き立て」といいます。

卵から孵化してきたばかりの蚕は体長2mmほどです。

「蟻蚕」と呼ばれ、毛が生えているために色が黒く、蟻のようです。

蚕は、まゆを作るまでに4回脱皮をします。

孵化から1回目の脱皮を「1齢」、

次の2回目の脱皮までを「2齢」、

と数えて、5齢になってまゆを作ります。

下の写真は、孵化から7日目、2齢の最後の段階です。

指との比較で、大きさがわかると思います。

20110502090956

8日目、3齢になったところで、近所の農家に渡して、まゆを掛けるまで飼育をしてもらいます。

下は、農家で桑の葉を食べる、3齢の蚕。

2011_0503画像0122

今日は農家に行って、桑畑を見せていただきました。

2011_0503画像0124

今年は水不足で、ちょっと葉が乾いた感じでした。

2011_0503画像0132

さて、この写真は、うちの工房で20数年受け継いできている「小石丸」という品種の蚕ですが、来週からは、新しい品種の蚕が始まり、こちらはまゆを掛けるまですべて工房で飼育します。

来週からは、この新品種の蚕の飼育レポートをお送りします。

 

岡田心平