Home匠日記2011年2011年05月玄太染織工房自立した生き方

自立した生き方

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昭和55年度工芸コミュニティ調査報告書
「手づくりの里・綾」発展計画より

1.手づくりの里の意義・目的

〈地域の論理で地域の自立を〉

■”手づくりの里”の意義として、まず挙げられなければならないのは”地域の自立”に資することであろう。地域の自立とは何か。もとより、一地域が他の協力無しで”独立”することはありえない。相互に分担、協力して成立するものではあるが、その間においては対等でなければならない。それにはまず地域の個性の確立である。地域の存在の主張である。

・・・中略

■地方が良いから地方に住むのであり、そうした期待に応える地域でありたい。迎合することではもとよりない。風土にマッチし、伝統を活かし、主体性をもって町づくりの方向性を示し、それに賛同する者が住み、つくりあげる町、それが地域の自立であると思う。それが地方の論理による町づくりであると思う。

  その意味で町で打ち出している”手づくりの里”は綾町の主体的町づくり宣言と言えよう。そこには前述した理念と共に、それを具現化する文化、産業両面での”自立宣言”とみたい。
  情報、資本などあらゆる面で集中整備されている中央から流される強大な、そしてモノトーン(画一的)な情報に浸食されてゆく地方文化。そうしたなかで、人間の根源的な喜びを伴う手づくり、それによって生み出される文化、それは必然的にローカルなものであり、地域の個性とは不可分であって、それを生活にしっかり組み入れ、かつそれをかたくななまでも守り育てることが文化面での一つの自立であろう。手づくりの製品、それを産み出す工芸業を地域、そして個々の生活に取り込み振興する意義、手づくりの里宣言の意義の一つがここにある。

あらためて自問自答しながらこの一文に目を通しています。
地域の自立もさることながら自分自身が、「どうすれば自立した生き方ができるのか?」
これまでずっと考え続けてきたことでした。
若い頃、現在、国の現代の名工の一人でもあり日本を代表する染織家の秋山眞和氏に御縁を頂くことによって、
宮崎の工芸の生みの親でもある、黒木進氏に知遇を得る事ができました。
そのことにより、「染め織り」を生業として、手織三昧の日々を過ごせていることを、まずお二人に感謝したいと思います。

残念ながら黒木先生は昨年7月10日90歳にして他界されましたが、
日頃より「90歳までは生きるかナ」とのコトバ通りの大往生となりました。
師曰く、『これからの時代にあって、工芸に携わるという事は人間としてどう生きるかという根幹にかかわることである。
ライフデザインを考えずにして「物づくり」はありえない』と。
「耳順」を超えた今、また原点にかえって残された時間を生きてみようと思う次第です。
最終更新日: 2011年 5月 31日(火曜日) 09:52
日高正一郎

日高正一郎

玄太染織工房
宮崎の工芸の生き字引
ふか~いお話が聞けます