最近建築設計士さんからよく相談されます。うるしを洗面台に塗ったらどうなる?とか床に塗っても大丈夫か?など、うるしを内装に使ってみたい相談です。
うるしというと今では工芸品というイメージが強くなっていますが、うるしは縄文時代から「防腐性に優れた塗料」としてさまざまな用途で使われてきました。実際、福井、石川、富山、新潟などの北陸地方では昔から、住宅の内部にうるしは当たり前のように塗られていました。それが高度経済成長期以降、すっかり化学塗料にその座を奪われてしまいました。そういう時代が過ぎ、ようやく自然素材のうるしが、宮崎でも興味をもたれ注目されるようになったことはうれしい限りです。
建築材料としてのうるし、和紙にうるしを塗って壁に張ってみたり、白壁にうるし塗りの木のタイルを埋め込んだり、薄くスライスした板に色うるしを塗ってガラスに張り、照明器具を作ったり・・・。
和風とか伝統などという枠を超え、アイデア次第で現代の空間に「うるしの可能性」は無限に広がっていきます。かくいう私の家の洗面台もカウンターも、まだ白木のままです。「紺屋の白袴」です。
うるし屋稼業をしていると、我が家のことはいつも最後になってしまいます。